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貨車構造・部品研究室−004


航送用フック掛け(旧型)

 

構造・部品−003

構造・部品−005

 

2002/3/07 作成

2002/3/31 修正


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構造-006 安全弁

■ VD262148 航送用フック掛

 昭和37年,今後新製する車両には,航送船での動揺による転覆,又は移動を防ぐため,航送用車両緊締フック掛の取付が義務づけられた。在籍車輌に対しても遡及改造が行われ,一般検査の都度国鉄工場で施行された。

フック掛けは,下図の形状で,ボギー車の場合,片側4個,1輌分8個を,2・3軸車の場合,片側2個,1輌分4個を側梁に溶接により取り付けている。その位置は,ボギー車の場合,台車の輪軸中心線から台車の外側へそれぞれ100mm離れた位置とし(固定軸距1650mmのTR41Cでは1850mm),2・3軸車の場合は,両端の輪軸の左右に100mm離れた位置(固定軸距3900mmの場合4100mm)とした。

図−8 航送用フック掛(VD262148)

 2軸車の設置例で,タム8300形8300を紹介しよう。本形式は昭和37年12月にタム8301と共に誕生したわが国初の液体サイズ剤専用車で,航送用フック掛けは新製時から設置されていた。

写真22 タム8300形8300

平成5年8月6日 安治川口

 
 タム8301はタム8300と同一ロットで同時に誕生した。しかし,よく見ると,側ブレーキ操作用の手摺の形状が異なり,4位側の航送用フック掛が正規の位置でなく,端梁側に取付けられている。同一ロットなのにどうしたことなのだろうか?
 答えは次の写真で説明しよう。

写真23 タム8300形8301

平成2年1月21日 安治川口

 
 写真24は,4位側台枠端部を拡大したものである。写真をよく見ると,側ブレーキテコ案内(中央左寄りで白く塗られた縦長の部品)の左側の台枠に溶接跡のような縦線が見える。この縦線こそ,新製時に取付られていた航送用フック掛を外した跡である。

 ということで,タム8301の手摺形状と航送用フック掛位置は,後天的改造により生じた個体差ということになる。このような例はタム3050形に多く見受けられる。この理由は,航送時に,側ブレーキテコと航送様フック掛の位置が近すぎ,航送時のフックが側ブレーキテコにぶつかる等の不具合が有ったための改良ではないかと推測される。

写真24 タム8300形8301フック掛け詳細

平成2年1月21日 安治川口


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