吉岡心平のマーク

シキ1000形1000D2

私有貨車


 今回は、我国で唯一両「D2」記号を持つ大物車を紹介する。

 シキ1000形は「分割低床式」の55トン積大物車で、積車でも75km/hで運用可能な高性能大物車として、昭和50〜54年に日車で3両製作された。誕生の経緯や、「係留梁」などの特徴ある技術は、特別編290で解説したので、これを参照頂きたい。

 3両の中で唯一シキ1000は、D1梁とD2梁とを持つ車両であった。D2梁は一言で言って、床面を下げる代償として長さを犠牲にしたもので、D1梁がレール面上高さ650mm・有効長さ7,000m

mなのに対し、D2梁は床面高さを550mmと100mm下げた代り、有効長さは4,600mmと短い。 低床面が分割できる分割低床式の利点を上手く活用した事例であったが、D2梁の幅は2,500mmと、強度保持のためD1梁より100mm広くなっている。

 落成時の所有者は日本通運KK・常備駅は日立であった。D2梁の使用実績は少なかったようで、小生も使われている局面では見たことがなかった。昭和62年1月に3両揃って廃車となったが、写真は廃車後3両並んで留置されていた時の姿である。なお本形式3両は、平成2年10月にJR貨物が買い上げ、奇跡の復活を果たしている。


●同一形式 シキ1000形1001(特別編290) 昭和50年2月日車製、標準的な「D1」梁の例。


【特別編367】030408作成、040328R4、050430R4A。

シキ1000形1000の写真

【写真1367】 シキ1000形1000D2 昭和62年12月5日 日立駅にて P:吉岡心平