吉岡心平のマーク

シキ1000形1001

私有貨車


 今回は、TOMIXのNゲージ模型でお馴染みの、シキ1000形大物車を紹介する。

 シキ1000形は55トン積の分割低床式大物車で、昭和50年に2両、54年に1両の計3両が日車で製作された。記号「D」で表される分割低床式の起源は古く、イギリスでは戦前、ベイヤピーコックが輸出用蒸気機関車輸送用として製作した。南アのガーラットでも積載したのだろうか。

 シキ1001D1は昭和50年3月日車で製作された。2月に落成した1000D1、D2と同一ロットである。荷重から見ると、国鉄所有のシキ550形に相当する中型の汎用大物車だが、同形式は最高速度が65Km/hに制限されているため、運用に支障を生じていた。これを撤廃し、運用効率を向上すべく開発されたのが本形式である。

 大物車の走行性能向上で問題となったのは、積車時のローリングであった。エッサホイサと駕籠が左右に揺れるのと同じ理屈である。
 そこで本形式では、荷受け梁の上にまくら枠とリンク機構で一体となった「係留梁」を新設し、この係留梁とまくら枠とで荷受け梁を挟み込む構造とした。さらに、係留梁と荷受け梁間にはローリング防止ダンパを設け、スカイフック的な機構をメカニカルに実現している。

 所有者は日本通運KK、常備駅は高砂であった。同地には三菱重工の工場があり、ここでの使用を目的に配置されたようである。昭和59年2月日立駅に異動し、昭和62年1月に除籍された。
 その後、JR貨物が汎用大物車として買い上げ、平成2年8月に車籍復活した。現在は同社所有車として活躍中である。


●同一形式 シキ1000形1000D2(特別編367) 昭和50年日車製、一両しかなかった「D2」梁の例。


【特別編290】021018作成、030408リンク追加、040509R4。

シキ1000形1001D1の写真

【写真1290】 シキ1000形1001D1 昭和50年10月4日 高砂駅にて P:吉岡心平