吉岡心平のマーク

タ2000形2002

私有貨車


 タ2000形は10トン積アルコール専用車で、3両在籍したが、いずれも他形式の改造車である。

 今回取り上げるタ2002は同形式で唯一の戦後製で、タム900形972を昭和26年11月に新潟で改造した。種車は昭和24年3月東洋レーヨン製の15トン積カセイソーダ液専用車で、タム977までの6両が同一ロットであった。なお973以降の5両は、後にタム5900形の5900〜04に改造されている。

 改造では、タンク体は種車のものを使用したが、ドームは容積を拡大したものを新規に製作し、これと交換した。荷役装置は下出し式に変更されたため吐出管を新設したが、KC形ブレーキシリンダ

と干渉するため、取付位置は異様に低くなっている。なお種車時代の空気管・液出管は、ドーム交換と同時に撤去されている。
 台枠は、種車のものをそのまま流用した。構造および寸法から戦災有蓋車のものと推定される。走り装置は1段リンク式から、ヨンサントウの際に2段リンク式に改造された。

 落成時の所有者は酒精産業KK、常備駅は専売公社の工場のある稲毛であった。会社名は昭和31年3月に日本アルコール販売KKと変わり、常備駅は昭和35年1月出水、昭和43年1月伊賀、昭和48年5月石岡、昭和59年2月鉾田、そして昭和60年2月新崎とめまぐるしく異動した。平成8年4月に廃車となった。


アルコールタンク車の系譜


【特別編287】021012作成、070614R4A2、080719ロット表R3。


タ2000形のロット表

ロット 番号 製造年 製造所 旧形式 旧番号 落成時の所有者
2000,2001 S1612▲ 不明 タム200 273,274 日本曹達KK
2002 S2611▲ 新潟 タム900 972 酒精産業KK

タ2000形2002の写真

【写真1287】 タ2000形2002 昭和55年8月17日 塩浜操駅にて P:吉岡心平