Tadnps オーストリア
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T 屋根開閉式貨車
a  4軸[2軸ボギー]
d 両側同時 又は片側選択
  高位置重力落下荷卸
(荷卸し途中停止可能)
n 最大荷重>60t
p 軌間内
  高位置重力落下荷卸
(荷卸し途中停止可能)

s 積車最高速度100Km/h
■Tadgnss
 荷重がカテゴリーの定義を超える(60tを超え)、両側面又は片側面の高位置から重力落下により軌間内・外それぞれに荷卸し(途中停止可能)を行う機能を有する2軸ボギー屋根開閉式貨車(有蓋ホッパ車)である。
 形式番号(Technical characteristics )の上3桁は写真から判断すると093が割り当てられている。オーストリアのTadnps形の形式番号は0939が確認されている。
★d,dd,l,ll,o,oo,p,ppの相違                        .
放出高さ
 d,l,o,p(top:高位置):レール面上0.7m以上の高さから放出およびベルトコンベア利用
 dd,ll,oo,pp(bottom:低位置):レール面上0.7m未満の高さから放出(荷卸)
放出方式
 l,ll,o,oo(bulK:全):放出を途中で止めることができない
 d,dd,p,pp(Controlled:制御):放出を途中で止めることが可能

●ÖBB、RCW、RCの関係
 オーストリア連邦鉄道Österreichische Bundesbahnenは1992年に政府系公社から国有の特殊会社に転換後、2005年に旅客・貨物・施設2社・ITおよび労務の5社に分割され、これら5社の持ち株会社としてÖBBホールディング会社の組織となった。貨物部門はRail Cargo Austria AGとなった。さらにRail CargoグループとしてはRail Cargo Austriaで運用する貨車の保有・管理会社としてRail Cargo Wagonが設立され、全車Rail Cargo Austria AGへリースされている。以上のことから、貨車の所有者標記にはÖBBまたはRCWのどちらかが標記されているが、所有はRail Cargo Wagon(所有者コードRCW)であり、運用はRail Cargo Austriaとなる。
   2022.12.31作成 2023.1.17誤記訂正
スウィングルーフ型屋根開閉式・流し板付線路内外荷卸側開き式有蓋ホッパ車
80m3-21.64m-4hopper
31 81 0939 059-7 RIV A-RCW Tadnps 撮影:佐藤浩樹 2019.8.17 Ferencváros(ハンガリー)
国-所有者 オーストリア RCW    ■相互運用性 31 ■形式番号 0939 撮影済番号059(1輌)
RCW Tadnps 形式図(上写真と反対側の図) 出典:RCW貨車形式図(HP)
S  (100km/h)荷重37.6t(A 軸重16t)~55.6t(C 軸重20t)~63.6t(D 軸重22.5t) ★★(指定線区120km/h)
自重26.32t 容積80.0m3 全長21.64m 積込口(開放時)16.80×1.2m BC間距離16.60m 
走り装置:Y25形(両抱式)UIC貨車標準台車(車輪径920mm)
ホッパ数:4 側扉:8 開閉式屋根:スウィング式ルーフ 荷卸し方式:流し板付側開き式 
 オーストリアの貨車レンタル会社Rail Cargo Wagon(所有者コードRCW)(旧ÖBB) 所有の線路内外に荷卸しできる底開き式有蓋ホッパ車で、0939 001~104の105輌が新製された。本形式は我が国のホキ800形と同様に軌間内、軌間外の何れかに荷卸しできるホッパ車である。
 車体は上半分を多角形とし下半分を逆三角形とした断面形状で、線路方向に4つのホッパに分割されている。
 車体上部には車体長さのスウィング式の積込口蓋(開閉式屋根)が設けられ、前側(ブレーキハンドルのある側)の妻に設けられた丸ハンドルを回して右側に開閉する。片方の妻からの駆動だけで積込口蓋を開閉すると捻れるため反対側の妻側からも連動して開閉させる装置が設けられている。これを「積込口開閉連動装置」と呼ぶ。その詳細は、積込口蓋左側の車体内側に設けられた駆動軸と両端のリンクにより丸ハンドルの操作力を屋根開閉軸に伝達し、両側の積込口蓋開閉軸を同期させて積込口蓋を開閉させる構造となっている。また両妻面には、駆動時に積込口蓋の重量とバランスして少ない駆動力で開閉できるようにする円筒形筒に覆われたバネが設けられている。積込口蓋開放時には1.2m幅(推定)の開口部が車体全長16.8mにわたってホッパ上部の円弧に沿って開き、積荷を積み込む。
 前・中前・中後・後の4つのホッパ底にはそれぞれ左右に側扉が設けられ、これを開け積荷を重力落下させ、左右に設けられたシューター(流し板)から積荷を排出する。荷卸しの操作は他に類を見ないもので、車体半分の前後左右4つの側扉は片側のデッキに設けられた1つの丸ハンドルの操作により行い、前後側扉の選択は丸ハンドル右側のレバーにより行い、左右側扉の選択は丸ハンドル下部の操作機構により行う構造である。写真で見える大きな流し板は固定式で、この流し板上部には側扉を開けたときに流れ出る積荷の方向を軌間内か流し板に沿って軌間外の何れかに制御する可変フラッパーが設けられていて、その操作は片側の側枠(写真では反対側、図面ではこちら側)の4つの丸ハンドルの操作により個別に行う。また、側扉上部にはバイブレーターが設けられ空気圧により駆動し荷卸しの補助に使用される。以上操作の詳細は下記資料を参照されたい。
 台枠は平台枠であるが中梁はホッパと緩衝するため枕梁間を無くしていると推測され、多数の穴の開いた車体受台により車体と台枠一体構造となり垂直荷重および連結方向の力を負担していると考えられる。基礎ブレーキ装置は空気ブレーキ、補助(留置)ブレーキ装置は手ブレーキである。
参考:https://www.railcargo.com/de/dam/jcr:e71dc4f7-d04c-4a83-a952-61a8bbfb7f55/tadnpss-0817-ausgabe-2.pdf
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