貨車銘板研究室−033

鉄道車輌工業

昭和24年 鉄道車輌工業 (タム4000形4025)

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2002/10/28 作成

■社名・工場の変遷

昭和21月

設立

鉄道車輌工業(埼玉県大宮市日進)
現在も盛業中(営業品目に鉄道車輌は有りません)

■ 昭和24年 鉄道車輌工業 写真15

 敗戦の翌年,埼玉県大宮市日進の地に,「鉄道車輌工業」という勇ましい名前の会社が現れた。この会社のについての資料は少なく,詳細は不明であるが,現在では東京杉並区で盛業中のようである。当然,鉄道車輌とは無縁のトラックキャブの製造や改造などの業務とのことである。

 さて,昭和24年の銘板は,上段に社章,中段に社名,下段に製造年と,バランスの取れた美しい銘板である。社名も「工」の字が洒落ている。この銘板の持ち主はタム4000形4025である。

 タム4000形はタム500形15トン積ガソリン専用車の石油版として昭和12〜36年に90輌が製造されている。小生のようなおじさんファンにとって馴染み車輌であった。昭和12年に新製された最初の6輌は重油専用で,もともと15トン積重油専用車としてタム4000形が起こされた経緯がある。タム4000形のトップメーカーは以外にも戦災復旧車で有名な東洋レーヨンである。鉄道車輌工業製のタム4000形は,4009,4010,4025,4064の4輌である。この内,今回取り上げた4025は曰く付きの車輌である。手持ちの資料から拾った4025誕生の経緯は次のようなものである。

1. 昭和24年10月15日 昭和石油が15トン積揮発油専用車を1輌新製を計画し,タム500形2533が選定され,製作を開始した。

2. 昭和24年12月 4日 石油類に変更され,形式番号もタム4000形4025となった。

3. 昭和24年12月23日 達第525号で,昭和石油の部にタム4025が記載される。

 問題は,何時車籍編入されたかである。昭和24年10月〜12月の鉄道公報を全てチェックしたわけではないが,昭和24年12月23日にタム4025が公報に初めて現れたことから,タム4025はこの日に車籍編入されたと判断できる。

 次の問題は,タム500形2533は現車が存在し,車籍編入されたことがあるのかである。手持ちの資料からは,これを裏付けるものはなにも無い。といことは,タム500形2533は計画のみの番号で,実際には製作されず,欠番となったと判断せざるをえないのである。もともと,本車は,実容積18.0m3とタム500形の平均的な実容積21.1m3に比べ,異常に小さく,もともと石油類として申請したのだが,何かの手違いで揮発油専用と勘違いし,タム2533が選定されたのかもしれない。なにせ,出光興産,ゼネラル物産所有の2530〜2532は同じ鉄道車輌工業製で,タム4025と同一寸法・同一実容積なのに15トン積揮発油専用だったのだから。または,鉄道車輌工業が見込み生産をした4輌を,出光興産,ゼネラル物産,昭和石油の3社が引き取ったのかもしれない。しかし,現車はなにも語らず,昭和58年に廃車となり,全ては歴史の中に封印されてしまった。

写真153 タム4000形4025

昭和58年6月19日 南港

 

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