貨車写真館−052 |
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タキ8300形8302 |
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タキ8300形8302 |
1981(S56)/5/1石巻港 |
石巻港駅には十條製紙の工場があり,この側線のタンク車を駅係員にエスコートされながら撮影した写真である。 タキ8300形は我が国で初めて登場した30トン積みのラテックス専用車であり,昭和35年に野村貿易(株)所有のタキ8300が日本車輌で製造されてた。その5年後の昭和40年に登場したのが,タキ8302を含むタキ8301〜8304であり,東急車輌で新製された。所有者は,ダウケミカルインターナショナルリミテッドで,千鳥町を常備駅としていた。同社は昭和48年に旭ダウ(株)に,昭和57年には旭化成工業(株)に吸収合併され,タンク車もそれぞれの所有者に移った。 |
ラテックスの比重は水と同じ1であるため,実容積はちょうど30.0m3である。ラテックス専用車は,積荷に鉄さびが混入することを嫌うため,ステンレス鋼製のタンク体が普通であるが,昭和30年代はステンレス鋼が高価なため,本形式は普通鋼製のタンク体を使用した。内面処理として,タキ8300はエピコート,タキ8303,8304はフェノールレジンコーティングである。タキ8301,8302は資料では内面処理なしとなっているが,積荷の純度保持から内面処理なしは考えにくく,増備車のタキ8303,8304と同様のフェノールレジンコーティングではないかと推測される。
平成11年12月に廃車された。 |