貨車写真館−036

  
2006/5/18更新

タキ15800形15816

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タキ15800形15816

2002(H14)/02/16 千鳥町

 すっきりくっきりの越中島での写真は素晴らしいが、化成品タンク車の背景に化学プラントがある写真も「はたらくタンク車」の景観写真として捨てがたいものがある。千鳥町がそんな写真が撮れる駅であった。

 数年前まで、ここでは日本触媒のエチレングリコールタンク車の綺麗な写真を撮ることができた。今回は、撮影記録の中からタキ15800形15816を紹介する。

 タキ15816は昭和46年に15814〜15816の3輌ロットとして三菱で新製された。エチレングリコールタンク車は昭和33年に登場した30トン積みタキ6600形がはじまりで、本形式のタンク体にはステンレス鋼ものもと、普通鋼(一般構造用圧延鋼材)タンクの内側にステンレス鋼の薄板を内張したものが混在していた。昭和44年にタキ6600形を35トンへの大型化したタンク車が登場したときには、タンク体がステンレス鋼製のものをタキ15800形、普通鋼製タンクにステンレス鋼の薄板を内張のものをタキ16600形と形式区分した。ステンレス鋼が高価であった昭和30年代とは異なり、昭和40年代半ばステンレス鋼製タンク体が主流となり、タキ16600形が3輌しか製造されなかったのに対し、タキ15800形は23輌が製造されている。

 日本触媒化学工業では昭和35〜44年にタキ6600形を8輌新製し、全車のタンク体は普通鋼にステンレス鋼を内張した構造であった。昭和44年に35トン車を新製したときも同一構造とし、タキ6600形に因みタキ16600形が与えられた。このように内張構造のタンク車を好んで増備した同社であるが、昭和46年の増備はついにステンレス鋼製のタンク車となり、本車を含むタキ15814〜15816となったのである。

 本車の構造は、エチレングリコールの粘度が高く荷下ろしを容易にするため、タンク体は中央に向かって1/75の勾配を設け中央に水平部を設けたV3構造で、さらにタンク内の残液を減らし洗浄時の排水のため、一般のタンク車では内側にあるタンク体補強リングを外周に巻いており、タンク底板内部は段差が無いようにしている。また、エチレングリコールは吸湿性が高いため、荷下ろし時にタンク内に流入する空気を除湿する吸湿装置を設けている。タンク上部の円筒形の筒がそれである。タンク体は、材質SUS304L、内径2,050mm、長さ10,100mm、板厚は胴板6mm、鏡板8mmである。台枠は一般的な平台枠で長さ10,600mm、BC間距離7,600mmで、台車はTR41Cである。

 日本触媒化学工業(株)は平成3年に(株)日本触媒へ社名変更している。

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