貨車写真館−035

  
2006/5/13更新

タキ10100形10123

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タキ10100形10123

2003(H15)/09/13 美濃赤坂

 二硫化炭素専用車の歴史は古く、濃硫酸、希硫酸に次ぐ3番に登場した化成品であり、昭和3年に新製されたア2515M44形2515がはじまりである。このタンク車はわが国唯一のドームが3個有り、それぞれが連通管で繋がれている超個性派であった。

 ではわが国で最後に製造された二硫化炭素専用タンク車は何か。今回紹介するタキ10123がそれである。二硫化炭素タンク車はタンク車発達則に従い、昭和7年に15トン積みタム200形、昭和31年に30トン積みタキ5100形、そして昭和42年には35トン積みタキ10100形と発達してきた。

タキ10123は昭和57年2月に日本車輌で新製された。所有者は日本陸運産業(株)、常備駅は越中島である。本車は、前年に製造されたタキ10121,10122の増備車で、製造所、所有者、常備駅、外観・構造とも同一で、実質的な同一ロットである。

二硫化炭素タンク車は、東洋化成工業(株)、四国化成工業(株)、昭和工業(株)など二硫化炭素製造メーカーが所有し、輸送会社が所有することは皆無であった。

  昭和56〜57年は、貨物駅の大幅削減とヤード廃止による貨物輸送合理化が実施される58X(実際は59年2月実施)直前で、貨物輸送の先行きが見えない時代であった。このため、二硫化炭素製造メーカーは自社所有ではなく、輸送会社である日本陸運産業(株)所有としたようである。

 タンク体は、設計比重1.24、実容積28.2m3、内径1,950mm、長さ10,400mmの耐候性高張力鋼性で、珍しくドームを持っている。これは、二硫化炭素は揮発性と引火性がきわめて高いため、積車、空車を問わず積み荷の上に水を積載する(積車時には1.2トン、空車時にはそれ以上)必要があり、二硫化炭素の表面積をできるだけ小さくしたいためである。また、二硫化炭素の沸点は46℃と低いため、、タンク体外には保冷用の厚さ50mmのグラスウール製断熱材を有している。タンク体歩み板は強化型で、タンク体上部荷は荷役用バルブ類の保護用のついたてが目立っている。

 台枠は一般的な平台枠で、台車は私有貨車標準台車のTR213Cであり、ブレーキ装置は自動積空切替方式のKSD180−254×250である。

 

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