貨車写真館−025

  
2003/6/15更新

イギリス・オランダ製舶来タンク車廃タンク体発見!

ハースト・ネルソン,ファーブル

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写真166 タ600形657〜668の1輌と推測

 七尾のタンク車の発見者である金沢在住の浦田さんからとんでもない情報がもたらされた。これがこれから紹介する,2輌の廃タンク体である。

 本車の第一発見者は浦田さんではなく,彼の友人である寺本孝広さんである。でもこんな国宝級(?)の宝物を発見しちゃうなんてなんてすごい人なのでしょう。

 

 最初は我が国最古のタンク車といわれているハーストネルソン製タンク車のなれの果てである。この車輌のタンク体の発見はわが国で2例目であり,1例目はトワイライトゾーンMANUALE10に掲載されているため,参照願いたい。

写真167 タ600形657〜668の1輌と推測

 

 本車で注目すべき点は,センターアンカー改造されていない点である。聞き取り調査によると昭和30年代に設置されたとのこと,この時まで横木方式で使用されていたのである。

 

ア1900形の特徴であるタマネギ型のドームとドーム蓋の詳細である。

 

写真169 タ600形694〜717の1輌と推測

 ここには,もう1輌分のタンク体が有る。そして,このタンク体こそが,日本で初めて発見されたオランダ・ファーブル社製舶来タンク車の廃タンク体であったのだ。

 昭和4年形式図によると,このタイプのタンク車は明治38年ファーブル社製のタ694〜717の24輌と,ノックダウン工場と考えられる明治41年横浜鉄工所製のタ672〜693の22輌が存在するが,両者で寸法は微妙に異なる。

 現車の寸法調査の結果,ファーブル社製と一致することが判明した。

 

参考:http://shimpei.3.pro.tok2.com/0001/121_pfc-special1/lap527_tamu22002.htm

写真170 タム22002

撮影:堀井純一

 貨車研究の大先輩である堀井純一さんから提供下さった写真である。

 本車の由来は吉岡さんのHPに詳しいので省略するが,ファーブル製タンク体の廃タンク体を使用した戦災復旧車である。

 そこで,写真169と,よ〜見比べて欲しい。5ピース構成の鋲接タンク体。4組の継板を切断した名残。タンク上部をタンク体と平行に走る手すりの支えなど,ファーブル製タンク体の特徴を余すところ無く伝えていることが分かろう。

写真171 タ600形694〜717の1輌と推測

 ファーブル社製タンク車のドーム詳細である。イギリスのハーストネルソン社製のタマネギ型ドームと異なり,元祖ドラム缶タイプなのである。

 

現車調査による寸法

タンク体内径:1,650mm

タンク体長さ :5,813mm

(7ヶ所の合計で誤差有)

ドーム外径   :782mm

ドーム天板外径:810mm

ドーム高さ   :297mm

天板厚み    :25.4mm

写真172 タ600形694〜717の1輌と推測

 ファーブル社製タンク車のタンク固定方法は,わが国初の一体化方式であり,その巨大な継板である。

継板の寸法

外側:1125×250mm

内側:930×250mm

リベット数は

外側:13+12+13+12=50個

内側:11+10+11+10=42個

 

 

写真173 タ600形694〜717の1輌と推測

 鏡板と胴板との接合部で,台枠と接する下部は沈頭鋲を使用している。

 

 

写真174 タ600形694〜717の1輌と推測

 胴板の接合部である。

 

写真提供のお礼

 堀井純一様から貴重な写真を提供して頂きました。ありがとうございます。