【国鉄編7】ワム2018と仲間達

平成13年6月8日 ▲国鉄編6へ ▼国鉄編8へ 国鉄貨車研究所に戻る


 今回は国鉄編5で取り上げた「車体側面の継目位置」の続編として、昭和21年に作られたワム2000・23000形有蓋車について見てみることにしよう。

 初めに昭和21年当時の貨車情勢について触れておこう。戦争末期には、貨車の新車はすべて無蓋車とされ、トキ900形とチキ3000・4000形が量産された。一方空襲により戦災貨車は急増し、敗戦直後は有蓋車が大幅に欠乏することになった。
 そこで国鉄(下注)では、有蓋車を緊急増備することにした。計画ではワム23000形を製作する予定だったが、実際に落成した車両はワム23000形176両・ワム2000形78両・ワム50000形70両の計324両で、長軸車軸と薄鋼板が不足していたようだ。

■ワム2000形

 2000〜2025 26両 昭和21年 川崎
 2026〜2077 50両 昭和21年 近畿

 ここでは、国鉄貨車教室に掲載したワム2018の写真を紹介する。車体側面の板取りは車端寄に細い縦板があり、残りは上下2分割である。新製時のため、裾部に継ぎが当たっていない点に注目して欲しい。

【写真7の1】 ワム2000形2018 P:吉岡心平所蔵

■ワム23000形

 29998〜30125 128両 昭和21年 日車
 30126〜30147  22両 欠番
 30148〜30171  24両 昭和21年 川崎
 30172〜30280 109両 欠番
 30281〜30304  24両 昭和21年 川崎

 初めの22両分の欠番は日車割当分を150両とすれば納得がいくが、それ以外の割当は皆目判らない。川崎が二箇所に分かれているのは、後から追加されたためとも思えるのだが・・・。

■日車製

 ワム130003は、上の写真で紹介した川崎製のワム2018と同じタイプで、車端部に細い縦があり、残る部分は横に2分割されたもの。なお、この車両はドア下にある「車体受」が3本に改造されている。

 ワム130106はこれと同一ロットだが、非常に綺麗な作りで側板継目も横2分割の標準タイプである。車番振替を疑いたくなるような車両のひとつ。

【写真7の2】 ワム90000形130003 昭和51年7月30日 名古屋港駅にて

【写真7の3】 ワム90000形130106 昭和49年10月17日 高島駅にて

■川崎製

 ワム30281とワム130284を掲載したが、共に国鉄編4で紹介したワム2155、同5のワム2116と類似した「上1・下3に4分割された」スタイルである。
 なおワム130284は後天的改造で、腐食した側板裾部が切り継がれており、またドア下の「車体受」も3本となっている。

【写真7の4】 ワム23000形30281 P:吉岡心平所蔵

【写真7の5】 ワム90000形130284 昭和49年3月29日 越中島駅に

■戦後製の最終ロット

 戦後製が云々・・・ と言っても、戦前製の標準タイプが判らないと、戦後製のどこが変わったのか判らない。そこでベースラインの例として、昭和15年に製作された戦前製の最終ロットの写真を掲載しておく。

注 謎の昭和17年製がワム128000番台に少数存在するが、これにまつわる話は別の機会に譲りたい

【写真7の6】 ワム90000形129989 昭和51年7月18日 塩浜操駅


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