吉岡心平のマーク

タサ1300形

私有貨車


 タサ1300形は20トン積カセイソーダ液専用車で、2ロット5両が昭和17〜43年にかけて在籍した。

 その正体は、タキ2500二代形濃硫酸専用車を改造したものだ。戦時中、平和産業だったレーヨン工業の軍需転換により、多数の濃硫酸タンク車がカセイソーダ輸送に転用されたことは既に述べたが、本形式の誕生もその流れの一つである。

 改造内容だが、物資欠乏の折でもあり単なる専用種別変更に留まり、キセ追加などの本格的な改造は実施されなかった模様である。

●第一ロット
 タサ1300,1301で昭和12年1月汽車東京製

のタキ2505,2506を昭和17年3〜5月に改造。落成時は呉羽紡績所有・勿来駅常備で、その後呉羽化学工業KK所有となり、昭和36年7月タラ600形600,601に改造された。

●第二ロット
 タサ1302〜1304で昭和10年10月製のタキ2500〜2502(00,01は二代)を昭和18年6月に改造。落成時は旭ベンベルグ絹糸所有・石山駅常備だったが、同年7月日窒化学工業KKに移籍し南延岡駅常備となった。その後社名は旭化成工業KKとなり、終始南九州で運用された。C55牽引の貨物列車に牽引されている写真を見た方も多いことだろう。タサ1301は比較的早く廃車となったが、残る2両はヨンサントウにより昭和43年9月末日付で廃車となった。


●関連形式 タキ2500二代形(図面編14) 種車となった形式。
カセイソーダ液専用車のガイド



タサ1300形のロット表

ロット 番号 製造年 製造所 旧形式 旧番号 落成時の所有者
1300,1301 S1703〜1705 不明▲ タキ2500形 2505,2506 昭和人絹KK
1302〜1304 S1806 不明▲ タキ2500二代形 2500二代,2501二代,2502 旭ベンベルグ絹糸KK

【暫定編7】071228作成R4A2。