吉岡心平のマーク

タム700形

私有貨車

Lv2


 タム700形は15トン積石油輸送用のタンク車である。落成当時はあえて専用種別を定めなければ自動的に石油専用車とされたため、公式資料には専用種別は無記入である。

 本形式はタム500形ガソリン専用車の石油版として、タム500〜502と並行して製作された。
 いわば由緒正しい嫡流の産まれで、将来はタム500形のペアとして石油タンク車の標準形式となることが期待されたが、その後軽油専用車のタム800形・重油専用車のタム4000形が製作され、その後「石油類」なる専用種別の誕生によりこれら三者が鼎立したため、事態は混乱した。
 結局、標準車の地位は末弟であるタム4000形が継いだため、本形式は無名のまま忘れ去られる結果となっている。

 閑話休題、本形式は昭和7年11月に700が汽車で、同年12月に701と702が三菱(神戸)で製作された。

 所有者は三菱商事KK・常備駅は扇町であった。昭和16年4月に3両揃って石油共販KKに移籍したが、タム701は敗戦一日前の日石秋田の空襲で被災し廃車となった。
 残った2両は昭和24年9月に三菱石油KKに復活し、タム700は汐見町駅常備を最後に昭和43年6月に廃車となった。残る702は昭和38年8月以来、雄別埠頭駅常備だったことが幸いして、1段リンクのまま道内専用車となり黄帯を巻いた。なお改番はなく、タム700形のままで運用制限車に指定されている。昭和46年7月に廃車となり、本形式は形式消滅した。


【暫定編5】061207作成R4A。