吉岡心平のマーク

東武鉄道ホキ101形104

私有貨車


 小泉さんのリクエストは、灰色の奇妙な小型車である東武ホキ101形だ。わが国のセメント輸送車は、ホッパ車でなくタンク車が主流となっている点で世界的にも特異だが、この流れを作った川崎製タキ7300形・タキ1900形の元祖となったのが、この小さなホッパ車である。

 同形式は30トン積セメント専用ホッパ車で、東武鉄道車籍の私有車として昭和31と32年に10両づつ、計20両が川崎で製作された。
 ホッパ体は全鋼製で容積は24m3と小さく、車体側面下部をオープンとしたため、一風変わった外観であった。
 荷役方式は東洋工機と共にわが国でもいち早

エアスライド方式を採用した。このためホッパ体も同方式に適した形状となったが、後の異径胴タンク体の萌芽が見られる。積込口は円筒形のものが屋根上に3個あった。
 台枠はホッパ車では標準的なの中梁省略台枠で、長さは9,200mm・BC間距離は5,400mmと、ホキ1形より小型であった。

 落成時の所有者は磐城セメントKK・常備駅は上白石で、昭和38年に社名は住友セメントKKに変わった。運用区間は同社栃木工場から業平橋駅にあったストックポイントであった。老朽化のため、昭和60年代に、東武車籍となったタキ11500形に置き換えられる形で廃車となった。


【特別編353】030226作成、040420R4、050410R4A。

東武鉄道ホキ101形104の写真

【写真1353】 東武ホキ101形104 昭和57年4月17日 上白石駅にて P:吉岡心平