交通部(日本の国土交通省)では台北から花蓮までの交通は鉄道を主に、道路を従にとして北廻線(蘇澳新〜花蓮)の複線電化を優先して実施した。これはほとんど新線を作るような大規模な改良であった。これで、輸送量は飛躍的に増大したが、花蓮への観光客の増加はこれ以上で、日曜日夕方の花蓮から台北までの指定席はプラチナチケット状態が続いている。
このような状態を打破するため、交通部では、2011年蘇澳から花蓮までの新道建設をスタートさせた。この区間はほとんどがトンネルで、上下2本のトンネルを4区間、計40km掘削する大規模なものである。この区間は、石灰石採掘場が林立していることから分かるように、石灰石の山が多い。当然この残土は石灰石となる。
これに目を付け中国鉄鋼公司では、これを製鉄用として使用することにした。 製鉄所は高雄にあるため、ここまで輸送するために、工事現場から20フィート無蓋コンテナ(上部に蓋は無い)を和仁駅まではトラック輸送する。コンテナの積込みは和仁駅の南海側に駅から引き込み線を新設し、トラックからはリーチスタッカーで貨車に積み込む。台湾でのリーチスタッカーの使用はこれが嚆矢であろう。さらにフォークリフトで上蓋を被せ有蓋化するのだ。返
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空コンテナのトラックへの積み込みはこの逆である。花蓮港までは50噸積平車50F200形に、これを2個積載し、15編成で1日4往復のピストン輸送し、花蓮港にてバラ積みの貨物船積み替えて高雄まで輸送する。
なぜ、高雄港までトラックによる道路輸送しないかは、この間の貧弱な道路事情にあり、大量のトラックは物理的にも政策的にも通行させることはできないのである。実際、今回新城駅からタクシーで和仁駅へ向かったのであるが、急峻な海岸線に張り付くように走り、各所に片側通行の規制のある山道をのろのろと30分は走ったのであり、以外と交通量もあるのである。
この石灰石コンテナを輸送する50F200形は戦車輸送用として誕生した3軸ボギーの平車である。輌数も35輌とまとまっていることから、全車を対象としてキャタピラーガイドを撤去し20フォートコンテナ締結金具を新設する改造を今年春実施し、7月2日に輸送を開始した。その後7月26日、8月5日、9月3日にそれぞれ列車を新設し4往復となった。列車は15輌編成であるため、予備車5輌で、運用効率200%の特設列車である。
写真S−563 〜 568
撮影は別記以外 :福田孝行 2011/9/25和仁
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