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■解説 現在発見されている中で明文化された初めの私有貨車手続きである。 明治３９〜４１年に鉄道国有化が実施され、日本鉄道や山陽鉄道などの私設鉄道の車輌は国鉄（当時は鉄道作業局、帝国鉄道庁）所有となったが、これら私設鉄道に車籍を置いていた油槽車は、国鉄車籍となった。『国鉄に車籍を置く会社又は個人所有の貨車を私有貨車と呼ぶ』との定義からすれば、油槽車の大部分は、この時期に私有貨車となったことになる。この鐵運乙第９７０号は、書籍の「私有貨車」や「私有貨車ハンドブック」に掲載されていたが、肝心な別表が省略されていた。今回はその別表を含めてた私有貨車手続きの全文をお届けする。 |
鉄道公報 明治４０年９月２日 第１３２号
●鉄運乙第９７０号
運輸部一般
当庁車籍編入ノ私有油槽車運搬、検査、修繕ニ関スル取扱方左ノ通知定メ明治４０年８月１日ヨリ実施ス
追テ在来私有油槽車ノ運転、検査、修理ニ関スル総テノ通達ハ本年７月３１日限リ廃止ス
一 油槽車所有者名及番号並使用区間ハ別表ノ通リトス
二 油槽車ノ検査手当其他運転上ノ取扱ハ庁有車輌同様トス
但定期検査施行ノ場所ハ別ニ之ヲ定ム ←鉄運乙第１２７４号で制定（M401019）
三 甲号表所載ノ油槽車ニシテ修理ヲ要スル場合ハ別ニ定ムル場所マテ之カ回送ノ手続ヲナシ同時ニ所有者名、車輌記号及番号並回送月日等ヲ本部運転課（貨車）ニ報告スヘシ
四 乙号表所載ノ油槽車ニシテ修理ヲ要スル場合ハ庁有車輌同様ノ手続ヲナスヘシ
五 全項修繕車ニ対シ当該工場又は機関庫ハ速成ヲ期シ落成ト共ニ第一号表ニヨリ本部運転課（貨車）ニ報告スヘシ
六 脱線転覆其他ノ事故アル時ハ便宜庁有車輌同様ノ措置ヲナシ其原因油槽車ニ基因セルキハ当該事務所長ハ直チニ第二号表ニヨリ本部運転課（貨車）ニ報告スヘシ
七 総テ修理ヲ要スル車輌ニ対シテハ当該事務所長ニ於テ其都度第二号表ニヨリ本部運転課（貨車）ニ報告スヘシ
八 修繕済車輌ハ最寄機関庫主任立会検査ノ上受授ヲナスヘシ
九 修理ヲ加フルモ到底使用ノ見込ナシト認ムル車輌ハ運転ヲ停止シ第三号表ニヨリ本部運転課（貨車）ニ報告シ指示ヲ受クヘシ
十 本部ヨリ車籍除外（修理ヲ加フルモ到底使用ノ見込ナキモノ又ハ甲号表所載ノ油槽車ニ際シ各其所有者カ所定ノ引渡場所ヨリ協定期日内ニ引取ヲナサルヽルキ等ノ場合ナスベキモノ）ノ旨ヲ通知シタルキハ其使用ヲ停止スベシ
但本項車輌ノ運搬其他ニ要スル費用ハ当該車輌所有者ヨリ収受スヘキモノトス
十一 株式会社国油共同販売所有油槽車中自コ第４２号至コ第７１号３０輌ノ積量ハ内側最後部（注入口ノ高サヲ除ク）ヨリ約１３吋ノ空隙ヲ在スルモノタルヘシ
十二 本部運転課（貨車）ニ提出スヘキ第五、第六、第七項報告様式左ノ如シ
但用紙ハ「フールスカップ」四ツ切トス
別 表 （甲 号）
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所有者名 |
記号 |
番号 |
輌数 |
使用区間 |
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日本石油株式会社 |
乙 |
1−98 |
98 |
庁線内 |
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南北石油会社 |
油 |
1−100 |
100 |
〃 |
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紐育スタンダードオイル会社 |
ス |
1−10 |
10 |
〃 |
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備考 南北石油会社百輌ノ内廿五両ハ引継済残余ハ製造竣工次第漸次引継スヘキモノナリ
（乙 号）
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所有者名 |
記号 |
番号 |
輌数 |
使用区間 |
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国油共同販売所 |
コ 寶 |
1−78 4−12,30-35,37,47−56,58−72,131−135 |
124 |
庁線内 |
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桑原謹三 |
ク |
1-5 |
5 |
〃 |
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小倉商会北越支部 |
い 中 |
1−29,35−46 1−7 |
48 |
〃 |
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※福田解説：桑原謹三所有者の記号クには手書きで○囲いが書かれている
油槽車修繕落成報告
（第一号表）
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入場月日 |
落成年月 |
所有者名 |
車輌｛記号・番号 |
修繕箇所 |
修繕費用 |
記 事 |
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油槽車事故報告
（第二号表）
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発生又ハ発見月日 |
所有者名 |
車輌｛記号・番号 |
発生又ハ発見場所 |
発生ノ原因 |
車輌ノ状態 |
車輌ノ処置 |
車輌ノ処置ニ要セシ諸費用 |
記 事 |
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備考 第七項ニヨル報告書ニハ（車輌ノ措置ニ要セシ諸費用）ヲ記スルニ及ハス
油槽車不全報告
（第三号表）
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発見月日 |
所有者名 |
発見場所 |
車輌｛記号・番号 |
不完状態 |
記 事 |
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鉄道公報 明治４０年９月４日
●正誤
本文中、赤字部分の訂正が行われた。
ル→ス 車→者 １１４→１２４
鉄道公報 明治４０年１０月７日 第１６１号
●鉄運乙第１１９８号
運輸部一般
明治４０年９月２日公報第１３２号鉄運乙第９７０号達私有油槽車運転、検査、修理ニ関スル取扱方規定第三項ニ左ノ但書ヲ追加ス
但当庁ノ懈怠若クハ過失ニ基因スル破損ト認ムル修繕車ニ対シテハ庁有車輌同様ノ手続ヲナスヘシ
| 鉄道公報 明治４０年９月２日 第１３２号 ●鉄運乙第９７０号 原文 |
