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昔のフィルムから 013

1980(S55).9.21 吹田駅

 この日の貨車撮影ツアーの最後は吹田駅だ。この吹田駅の大阪寄り(プラットホームのかなり先)には当時、アサヒビールと吹田(操)の線路の間に小さな貨物扱い所があって、ここに信越化学工業所有のクロロホルム専用タンク車がよく来ていた。この日の吹田駅での撮影は上りホームの大阪寄りから留置されていたタンク車を撮影した。

 夕方の薄暗い時間帯で、絞りを開け超低速シャッターでの撮影のため、被写界深度の影響を受けない真横写真となった。それでも少し手振れしていた。当時はオートフォーカスも手振れ補正も無かった時代ではあるが、35mmフィルム・焦点距離50mmレンズ・手持ち(三脚等無し)で、シャッタースピードまで普通に撮影していた。撮影の極意は、足を踏ん張り、脇を締め、息を止め、カメラが動かないように静かにシャッターを押すことであった。いまの高性能デジカメにように1/4000高速シャッターで高速走行中の貨物列車の貨車やコンテナが止まって綺麗に撮れるのとは大違いであった。

   2021.12.23 作成

 F-0098 タキ6100形6103   昭和36年富士重工で新製された伊藤忠商事所有の30トン積四塩化炭素専用タンク車。台枠側梁の標記板には「第三者使用:呉羽化学工業」を記載されている。

 F-0099 タキ9000形9004   昭和40年富士重工製の信越化学工業所有35トン積クロロホルム専用タンク車。タンク体はステンレス鋼製で、外周に厚さ100mmの保冷用断熱材を設けている。クロロホルムは水分を化学反応しステンレス鋼を腐食する物質を生成するため、ドームの左にはタンク内に流する空気を除湿する吸湿装置が設けられている。タンクの固定は締金方式である。新製当時はクロロホルムの下出し荷役が禁止されていなかったため下出し方式である。信越化学工業の車紋が旧車紋であることに注意してほしい。また、「クロロホルム専用」の文字が小さい標記されている。

 F-0100 タキ9000形9008 上写真の9004から9年後の昭和49年富士重製。タンク固定方法が押え金方式に、荷卸し方式がクロロホルムの下出しが禁止されたため上出し方式に、ジャッキ受けがおむすび型の新型にそれぞれ変更された。また本車は信越化学工業の車紋が新しいデザインとなっている。なお、「クロロホルム専用」の標記は通常の大きさとなっている。

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