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貨車写真館−020


タム3050形3078(キセ撤去後),3082

 

貨車写真館−019

貨車写真館−021

 

 

2002/7/12 作成


写真109 タム3050形3078(キセ撤去後)

昭和61年4月24日 桜島

写真110 タム3050形3082

昭和44年6月8日 戸塚/P:堀井純一

【堀井純一さんから貴重な写真を提供して頂きました】

 今は無き15トン積ホルマリン専用車タム3050形は,形態分類の醍醐味を味わわせてくれたタンク車であった。タンク体材質は,純アルミ,ステンレス鋼,普通鋼内面にライニングの3種類,キセの有無で2種類,荷役方式が上出しと下出しの2種類あり,これが縦線と横線の如く,織れ混ざっており,これを分類することは至難の業であった。

 タム3050形は昭和29〜37年に3050〜3099,13050〜13063の61輌が誕生した,15積ホルマリン専用の標準車である。3069,3070,3090は最初から欠番で,理由は不明である。また,13053〜13056は3050〜3053をタ3500形へ転用した後,再び本形式へ戻った際に旧番へ復帰せず,新番号が与えられた車輌である。

 20年前にはタム3050形は何処でも見られたタンク車であったが,キセ付きは1輌も見ていなかった。しかしタム3078のように,腰高な受台,ドーム頂部の鍔,歩み板取付金具の嵩上台など,不思議な形態をしている車輌が何輌かあり,非常に気になっていた。その後,堀井さん宅へお邪魔し,貴重な写真を見せていただいて,この謎は一辺に氷解した。その写真がタム3082で,なんとキセ付きであったのだ。つまり,タム3078はキセを撤去した後の姿だったのだ。

 タム3078は,昭和31年8月に江戸川化学工業(株)向けに新製された。3082はその3ヶ月後に3079〜3082の4輌1ロットとして日本瓦斯化学工業(株)向けに試製された。メーカーは共に飯野である。外観,構造,寸法は3078と3079〜3082は断熱材を除いて同一であった。唯一の相違点である断熱材は,3078が65mm厚イソフレックス,3079〜3082が50mm厚牛毛フェルトである。タンク体は胴板板厚6mm,鏡板板厚9mmのステンレス鋼SUS7(→SUS304)製で,内径1,740mm,長さ6,340mm,である。実容積は両者で若干異なり,3078が14.6m,3079〜3082が14.5mであった。台枠は側梁に180mmチャンネルを用いた平型で,固定軸距4,000mm,台枠長さ7,100mmであった。走り装置は,新製時から2段リンク式である。

 江戸川化学工業(株)は昭和37年に三菱江戸川化学(株)に社名変更され,昭和46年に日本瓦斯化学工業(株)と合併し,三菱瓦斯化学(株)となった。3078の所有者名もこれに従い変更された。昭和49年には住み慣れた金町の地を離れ,南四日市駅常備となった。さらに,昭和53年,内外輸送(株)で中条駅へ異動した。その後の国鉄分割民営化の激動の時代を生き抜き,平成7年に廃車された。

3082の所有者は昭和46年の合併により三菱瓦斯化学(株)となった。常備駅は生涯,焼島であった。こちらは,昭和59年に3079〜3082の4輌1ロットがそろって廃車されてしまった。

 

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