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タンク車大型化の流れに乗って華々しく誕生したスター,3軸ボギータンク車は,その長大で巨大な姿でファンを魅了したものである。その3軸ボギータンク車も平成5年に最後まで残ったタキ50000形2輌とタキ64000形2輌が廃車され,この世から消え去ってしまった。最も,同じガソリン専用でもタキ50000形が50トン積,タキ1000形が2軸ボギー車で45トン積みを実現していることを考えれば,隔世の感がある。 その3軸ボギータンク車の中で最も目立つスターは「火を噴くタンク車」アルファルト専用車である。アスファルト専用車はタキ8900形,9200形,11700形の3形式36輌が全勢力であるが,試作形式のタキ8900形を除けば,3軸ボギー車が量産形式という,タンク車史上例がない専用種別なのである。 その中で,昭和36〜46年に26輌が新製されたタキ9200形が,最も有名な形式であろう。 アルファルト専用タンク車は,日本車輌の技術開発により誕生した。最初は,昭和36年に5輌1ロットが新製されたタキ8900形である。アルファルトは約180℃の熱っすることで流動化させ,荷卸しを行う方法があるため,鏡板には2組の加熱管焚口と,タンク内を半周し再び鏡板まで戻った加熱管に接続された煙突が設けられた。タキ8900形はドームが中央にあったったため,タンク体の熱変形が予想以上に大きかったようで,量産車はこの熱変形防止し焦点を絞り,開発された。これがタキ9200形である。 タキ9200形は,タンク体の熱変形防止のため,タンク体両端部にドームを設け,タンク体を直胴形とした。また輸送効率と熱容量の関係からタンク体を大型化する方が好ましく,台車に3軸ボギーのTR78を用いることで,45トン車が誕生した。加熱用焔管はタキ8900形に準じて設計されている。 アルファルトの積込みはタンク上部マンホールから行う。荷卸しは鏡板の加熱管焚口にオイルバーナーを取付け,アスファルトを180℃に加熱した後,圧縮空気により上部吐出管から行う上出し方式である。なお,タンク下部の吐出管は臨時専用種別の重油用である。写真80は晩年,塩浜で撮影したもので,この吐出間は撤去されていた。 タンク体直径は2,050mm,長さは9200〜9223が16,000mmで,9224,9225が15,850mmである。断熱材は当初厚さ70mmグラスウール製で有ったが,9217以降は保温性能向上のため,厚さが120mmとなっている。このため,9217以降のキセは,台枠に接する部分が平らとなった。 晩年は,塩浜の名物で,素晴らしい形式写真を撮影できたが,最後まで残った9215〜9217,9220〜9223が昭和63年に一挙に車籍除外され,アスファルト専用タンク車の歴史に幕を下ろした。 次回は,タキ9200形のオイルヒーティング改造車を紹介します。
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