福田孝行の貨車ホームページ |
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タム5000形といえば,川崎貨物(旧塩浜操)から全国へ運用されていた「味タム」が有名であったが,既に過去のものとなってしまった。晩年の味タムから,アミノ酸専用のイメージが強いが,本来は,塩酸専用の15トン積標準車として大量に製作された形式で,昭和13〜43年までの30年間に各車両メーカーで製造され,合計368輌に達した。 タム6256は,昭和40年に富士重で新製された生粋の大阪曹達所有者で,登場時は小倉駅常備であったが,直ぐに安治川口へ異動した。タム5000形としては末期の登場で,この1番前のタム6255は謎の欠番,その前のタム6254は昭和39年に造機と富士重で1輌づつ新製されたが同一番号を付番された2車現存車と,いわくつき続きの後であった。 タム6256は,普通の塩酸タンク車に見えるが,受台の配置が,鋼製2軸タンク車としては異例である。大多数の鋼製2軸タンク車は「ばね吊受」上部の台枠上に4組の小型受台を持つか,軸箱上部の台枠上に2組の大型受台を持つのが通例である。4組の受台をばね吊り受上部に配置する理由は,タンク体の垂直荷重をばね吊り受けに直接流し,台枠に曲げモーメントを発生させないためである。本車は,2組の大型受台を用いているが,半端な位置に設けられているのである。その他は,ドーム頂部を大型フランジとしたごく平凡な近代的2軸塩酸タンク車である。 安治川口のマスコット的存在であったが,撮影当時から,1ヶ月後の10月22日に車籍除外され,解体された。 |
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